給与計算 固定残業代を導入する場合の注意点
今回は、固定残業代(定額残業代)を導入する時のポイントについて、お話ししたいと思います。
固定残業代って、みなし残業のことですよね。毎月固定額を残業代として支給されているのを見たことがあります。
そうですね。固定残業代は、毎月定額の手当を残業代として支給することです。よく基本給に残業代が、含まれているから大丈夫だと思っている方もいますが、それだと具体的にいくらの手当が支給されて、何時間分の残業代が、支給してあるか分かりません。
まず、1つ目のポイントは、固定残業代と基本給を分けることです。。
確かに、基本給に固定残業代が含まれていても労働者は、残業代が支給されているかどうか分からないですね。
そうなんです。2つ目のポイントは、固定残業代を支給した場合に、労働者の方に何時間分の残業代を支給しているかを分かるようにしないといけません。
よくある方法は、労働契約書の賃金欄に固定残業代の手当とカッコ書きで補足を加えます。
例えばこんな感じで、固定残業代20,000円(固定残業手当として残業時間15時間分を支給する。ただし、固定残業代を超える場合は差額分を支給する。)と記載すること良いです。
これなら労働者も15時間分の残業代が、ついているんだなって分かりますね。
そうですね。固定残業代は、みなし残業なので労働者にとって分かりやすい手当でないといけません。
3つ目のポイントは、固定残業代は、残業時間がみなし残業時間未満の労働だったとしても固定残業代を全額支給しなければなりません。
また、実際の残業代が固定残業代を超えた場合は、その差額を支払わなければならないことになっています。
なるほど、残業時間がみなし残業時間を超えた場合は、その分の差額を受け取れるんですね。
そうなんです。これが、固定残業代を導入する場合に一番守らなければならいないことになります。ただ、固定残業代もメリットは、あります。みなし残業時間内であれば、毎月の複雑な残業代の計算をする手間が省けます。この場合も残業時間の把握は、必要になりますので、給与明細に残業時間の記載はするようにしてください。
分かりました。固定残業代のみなし残業時間の計算は、どうやってやるんですか?
そうですね。今回は、月給の方の固定残業代の計算方法を説明しますね。時給の方は、時給額が出ているので1.25倍すれば残業単価は出ますし、日給の方も1日の所定労働時間で割れば、時給が出てくるので計算は難しくないですよ。
固定残業代の計算方法→まずは、毎月の平均労働時間を先に計算しておきましょう。
年間休日が120日の場合は、1年間の365日から120日を引いて245日が労働日数を出します。その労働日数(245日)を12月で割って、ひと月当たりの労働日数(20.41日)に1日の所定労働時間(8時間)を掛けると163.28時間(少数は切り捨てて163時間とします。)が出てきます。
後は、基本給や諸手当(残業単価に含まれない手当は除く)(例20万円)を合計して、毎月の平均労働時間(163時間)で割ると時給額(時給1227円)が出ます。
次に、時給額に時間外割増(1.25)を掛けます。すると、残業単価(1534円)が出るので、最後に、残業単価にみなし残業時間(10時間)を掛けて、10時間分の固定残業代(15340円)を計算します。
なるほど。これで、固定残業代の計算までできそうな気がします。ありがとうございます。
今回は、固定残業代の注意点をご紹介しました。みなさんも固定残業代を導入する場合に参考にしてみて下さい。