今回は、前回に引き続き夫の年金額=遺族年金額ではない。 その2 遺族厚生年金編についてお話しします。
ちなみに、前回のその1 遺族基礎年金編については、こちらから確認できますよ。
www.colsolare.work
遺族厚生年金は、遺族基礎年金に比べてもらえる遺族の範囲も広く、旦那さんの方が年金額として多ければ、奥さんは支給の対象となります。
遺族厚生年金についても、『どのような人が』、『どのような要件でもらえて』、『いくらくらいもらえるのか?』みていきたいと思います。
遺族厚生年金は、全員はもらえない?
遺族厚生年金は、2階部分の年金です。ですから、社会保険に加入しているサラリーマンの旦那さんが亡くなった場合は、支給の対象となりますが、ずっと自営業で国民年金の第1号被保険者のような旦那さんは、対象にはなりません。
遺族厚生年金の支給要件
遺族厚生年金は、被保険者等要件に該当し、保険料納付要件を満たす必要がありますので、その内容を確認します。
【被保険者等要件】
被保険者等要件は、どんな場合であれば該当するかですが、下記の状態で、亡くなったのであれば要件を満たします。
- 被保険者が死亡したとき(短期要件)
- 被保険者であった者が、被保険者の資格喪失後に、死亡したとき(被保険者であった間に傷病の初診日があって、初診日から起算して5年以内にその傷病で死亡した場合。)(短期要件)
- 障害等級1級又は2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき(短期要件)
- 老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間+保険料免除期間を合算した期間が25年以上ある者)が死亡したとき(長期要件)
※遺族基礎年金との違いは、短期要件と長期要件の区分がある点です。短期要件は、旦那さんの厚生年金の被保険者期間が、300月(25年)なくても300月あるとみなして、遺族厚生年金額の計算がされます。一方、長期要件については、すでに25年を満たしているため、実際の加入期間で計算され、生年月日によっては給付乗率の読み替えがあります。
【保険料納付要件】
保険料納付要件は、旦那さんの死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに 、保険料納付済期間+保険料免除期間を合算した期間が、全体の被保険者期間の3分の2以上であれば該当します。
※こちらは遺族基礎年金と同じなので、いっしょに覚えてしまいましょう。
遺族厚生年金の遺族の範囲及び順位
【遺族の範囲】
遺族厚生年金を受け取ることができる遺族は、被保険者の配偶者、子、父母、孫及び祖父母であって、その者によって生計を維持されている者です。遺族基礎年金(配偶者及び子)に比べると遺族の範囲は広くなっています。また、妻以外の者については次の要件を満たす必要があります。
②子又は孫→18歳に達するに以後の最初の3/31までの間にある子または、20歳未満であって障害等級(1級、2級)の状態にあり、婚姻していないこと
【遺族の順位】
遺族厚生年金を受給できる遺族には、順位が決められていて、①位から順番に受給する権利があります。順位は下記の通りです。
①配偶者と子>②父母>③孫>④祖父母
※労災保険と異なる点は、遺族に兄弟姉妹が含まれない点と転給という制度が、遺族厚生年金にはない点です。
遺族厚生年金の年金額
最後に、遺族厚生年金の年金額はいくらもらえるか?についてです。遺族厚生年金は、短期要件と長期要件があります。遺族厚生年金の年金額は下記の通りとなります。
※遺族厚生年金は、旦那さんの厚生年金も金額を全額受け取れるのではなく、その4分の3の額を受け取ることができます。
長期要件は、①給付乗率の読み替えが行われます。②300月みなしはありません。
以上が、遺族年金額 その2 遺族厚生年金編についてです。
これで、遺族基礎年金と遺族厚生年金の仕組みと旦那さんの年金額が、全額もらえるわけではないことが理解してもらえたら嬉しいです。